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東北プランサービス株式会社

有機栽培(冬季湛水)圃場
住所 大崎市田尻小塩字要害二-1 (〒989-4305)
電話番号 0229-39-1610 FAX 0229-39-1610
E-mail zu.motomu@jade.plala.or.jp URL http://www.fuyumizu.com/
営業時間 終日 定休日 年中無休
概要 「本格的に農業を始めたのは2005年から..それまでは親父の手伝い程度で、農業に対する意識も高くは無かったんです」と鈴木要社長は言う。「親父が動けなくなって否応なくコメ作りをやらなければならなくなったんだが、何をどうやったらいいのかさっぱり分かんなくてね..」と当時を振り返る鈴木さん。「結局、埼玉県まで出かけて行って、『民間稲作研究所』の稲葉代表の話を聴いて、やっと目指す方向が見えたって、そんな気がしましたね。ハイ、有機農業の話です」。
 "冬みず田んぼ"を知ったのもその頃だった。冬の間、圃場に水を張って春に備えるその農法は、生き物たちの力や働きを活かした有機農業の一手法だが、それまでのコメ作りに漠然とした疑問を持っていた鈴木さんの胸には、ストンと素直に落ちるものがあった。
 「"冬みず田んぼ"を実践している人たちとも知り合いになってね、勇気づけられました。白姫町の菅原さん、色麻町の遠藤さん、南郷町の遠藤さん、みなさん有機農業に真剣に取り組んでいて、オレもやんなきゃあって、そんな気にさせられましたね。そうだ、ちょっと田んぼに行ってみましょうか?」鈴木さんに促されて外に出ると、田園に爽やかな風が吹き渡っている。
 「ここがわたしの田んぼです」と案内された圃場の畔道には『水田環境・調査鑑定地区-特A』と書かれた看板が立っていた。「冬に渡って来るハクチョウやガンのような水鳥の糞はリンを多く含んでいていい肥料になるんですよ。それから、稲の切り株やワラのような有機物が、発生した菌類によって分解されて、これも肥料になって春には藻類が発生するんです。それから、水を貯めた田んぼにはイトミミズが多くいて、有機物を分解して糞を排出します。そして、菌類と糞が適度に混ざり合った泥の細かな粒子が、滋養に富んだ肥沃なトロトロ層を作るんですよ。この層は一年で10センチ近く堆積して、雑草の抑制効果もあると言われています。まだありますよ。冬に水を張っておくとカエルの産卵を助けて、春の早い時期からカエルが活動を始めることになるんですね。それで、カメムシのような稲の害虫が発生する頃には、カエルやトンボが害虫を駆除してくれるという訳なんです。いやあ、生き物たちの力は大したもんだと思いますよ。この力を活かさない手はないですね」。鈴木さんの熱っぽい話を聞いていると、なるほど、「特A」の看板も納得がいく。
 畦道の脇には小川が流れていて、メダカの群れが遊んでいる。この小川も自然のままだ。嘗て、コンクリートの三面張りによる川の整備が一般的になったが、この手法は生き物と共生する暮らしとは相反するもので、結果、農薬を多用する農業を助長することにつながっている。「三面土側溝」と呼ばれる自然を活かした小川(掘り割り)は多くの水生生物を育み、それらは導水路で田んぼに導かれてまた他の生物の生命を育んでいる。  「先だっては、名古屋から『シンデレラ』っていう子どもたちの劇団がやって来て、地元の小中学生と交流しました。他の地域と交流するってことは、自分たちの地域を元気にすることにつながるんですよね。それも、田んぼや小川で遊びながらだと大人も楽しめるもんだから、まさに"生きものたちによる賑わいづくり"を地でいく話なんですよね、アハハ」。鈴木さんが屈託なく笑う。
 現在、鈴木社長は「稲作オーナー」を募集している。この制度は、年間3万円の年会費を収めて1区画=100平方メートルの圃場を借り、田植えから稲刈りまでのコメ作りを実際に体験するというもので、出来不出来に関わらず会員は1区画当たり30Kgの玄米が補償される。しかし、この制度の真の狙いは米の収穫にあるのではなく、「冬季湛水」(冬みず田んぼ)の圃場において、自然再生の現状と課題を体験を通して楽しく学んでもらうことにあるのだと、鈴木社長は言う。地元の産物の加工品づくりを共同体験してもらいながら都市住民との交流を図る「食の安全・安心研修会」も、地域活性化事業の一環としてその延長線上にあるのだろう。
 田尻地区にある「北小塩(きたおしお)環境保全協議会」の会長も務める鈴木要さんは、「自分たちが生まれ育ったこの北小塩をね、自然や生き物と共生する本当の意味での環境保全地区として子どもたちに渡してやりたいんです」と話を結んだ。
(2014年8月5日更新)

三面土側溝

「ふゆみずたんぼ」看板

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