会員企業紹介

ゆりあげ港朝市協同組合

さくらい商店朝市店
住所 宮城県名取市閖上5丁目23-20
電話番号 022-395-7211 FAX 022-395-7211(電話と兼用)
E-mail   URL http://yuriageasaichi.com/
営業時間 日曜・祝日 朝6時~13時 定休日  
概要 「こころに残る人ですか…うーん、櫻井誠一さん!いやあ、たまたま同じ苗字だったんですよ。」ゆりあげ港朝市協同組合の櫻井広行理事長はこう言って笑った。櫻井誠一さんは神戸市監査委員会の代表監査委員。震災の直後に被災地支援のため名取市を訪れたのが、朝市の櫻井理事長と知り合うきっかけとなった。
 「ウチの坊主もその年、閖上小学校に入学することんなってましてね、聞いたら"名札"が紙でつくった粗末なもんだって言うんですよ。こいつは何とかしなきゃあって思いましてね。」櫻井さんの"朝市魂"に火がついた。折りしも、神戸からの支援部隊が名取にやって来た。
 「見ず知らずの相手にね、名札つくってくれませんかって..オレもあつかましいよね。だけど、気がついたらもう頼んでた」。受けて立ったのが神戸市監査委員会の櫻井委員長。その日から、名札づくりのための二人の奮闘が始まった。名札の素材を調べたり校章の確認をするのは櫻井理事長、それをつくる費用を計算し資金を集めるのは櫻井委員長。"二人の櫻井"の短期決戦は一か月後、「一千枚の名札」となって華々しくその幕を閉じた。一千枚の名札には、「五年先、十年先にも元気な一年生が入って来て欲しい」という二人の願いが込められている。
その年の四月、いつもの年よりも二週間遅れの閖上小学校の入学式が、名取が丘にある仮校舎の体育館で行われた。新入学生の胸には、金糸で刺繍された校章入りの"ピカピカの名札"が輝いていた。「これはただの名札ではないんです。子どもたちの心のケアという役割りもしっかり果たしてくれているんです」と、神戸の櫻井委員長は言ったという。「子どもたちに気持ちの上で負けてほしくないんだ!」と言う櫻井理事長の思いもまた、その"特別の名札"に込められている。
「島貫文好さん。この人も忘れられない人ですねえ..」と、櫻井理事長は当時をふり返る。島貫文好さんは水産物卸売業の大手・仙台水産の会長。「無い無いづくしのあの状況の中でね、何が欲しいんだ、何でも言ってくれって、島貫会長がね..」感慨深げに櫻井理事長は語る。
 仙台市中央卸売市場は東日本大震災の直後、その機能が全く停止してしまった。一方、ゆりあげ港朝市は桜井理事長の勇断で被災したその月の中に営業再開を宣言した。「オレに今できることはこれしかない!何としても朝市をやるんだ!」桜井理事長は非常な決断をする。しかし、本人の思いとは裏腹に"売るもの"が無い。思案の末、仙台水産の島貫会長を訪ねた。
 島貫会長は朝市協同組合が使う事務用品一式を無償で提供してくれた上、機能が停止した卸売市場の県外に出す商品を即断即決でゆりあげ港朝市に配送してくれたのだった。そしてそれらの行為は、如何なる事態が生じても自分で責任を負うという島貫会長の決断によるものだった。
イオンモールの駐車場の一角を借りて開かれた朝市は、想像をはるかに超える賑わいを見せた。店の数こそ少なかったが、「いらっしゃい!いらっしゃい!」の元気あふれる売り子の呼び声は、震災の痛みをひととき忘れさせてくれるに充分なものだった。「今度、いづやんのっしゃ?」被災した閖上地区住民は喜色満面に聞いた。閖上地区以外の沢山の"買物難民"からも、事態を知った名取市役所からも同様の問い合わせが殺到したという。  「いや、何回持つかなっていうのがホントのところでした。何せ物が無いんだから。」櫻井理事長は述懐する。「朝市の再開は、島貫会長抜きには語れないんですよ。こっちにも、借りは返すっていう男の意地がありますからね」と、櫻井さんは笑った。幾多の試練と支援を受けながら「ゆりあげ港朝市」はその後も一回も休むことなく営業を続けた。
平成25年5月、「ゆりあげ港朝市」は念願かなって元の閖上の場所で営業を再開した。そこにはカナダ国政府の支援による木製の『メイプル館』が建ち、周りには新たな組合員も加わった『新生・ゆりあげ港朝市』が賑やかに店開きした。そしてその年の12月には、一段とスケールアップした「ゆりあげ港朝市」がグランドオープン。新たな企画やユニークなイベントが人気を呼んで、今も多くの買い物客や観光客で賑わっている。

櫻井理事長

朝市セリ市風景

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