会員企業紹介

宝万頭本舗
住所 〒980-0011 宮城県仙台市青葉区上杉2-4-40
電話番号 022-222-6718    
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概要 「ネコまん」誕生秘話
 
 「宝万頭(まんじゅう)」を知る仙台の人は多い。あの黒砂糖生地の薄い皮に包まれた餡入りの万頭だ。昭和30年に開業した「宝万頭本舗」の創始者は崎野光明(さきのみつあき)さん(75歳)。未だ戦後の復興が済んでいない仙台市上杉(かみすぎ)町の一角に小さな工場を建て、菓子作りを始めた。甘いものがまだ充分取れなかった時代、この菓子工場から生まれた「宝万頭」はたちまち仙台中の話題となり、お土産に、お使い物にと、仙台を代表するお菓子に成長した。
 
 崎野さんの菓子作りに対する人一倍の情熱がヒット商品を生んだ背景にはあるが、物を作る原点となる〝人のために〟の精神に貫かれているのが、崎野さんの物作りの基本を為すものだ。それは商品に留まらず、工場で働く従業員採用にも現れている。行政は障害者雇用を企業・団体にも求めているが、「宝万頭本舗」ではいち早く採用方針に取り入れている。
 
平成10年、軌道に乗った会社を長男・敬光(のりみつ)さんに譲り、崎野さんは仙台市荒浜にできた障害者授産施設「円(まどか)」の技術指導員の仕事に就く。それまで培ってきた菓子作りの技術を施設で働く障害者のためにという、崎野流人生哲学の為せる業だ。
 
 「円」で作られる昔ながらの万頭や〝がんづき〟(蒸し菓子)は地域の人たちに喜ばれ、口伝えで広まったお菓子は、それを求めて周辺の町からもお客が来るようになった。しかし、それで満足するような崎野さんではなかった。「何か新しいものを.」探究心の強い崎野さんは、ある時、〝ハマボウフウ〟という海浜植物が土地の人たちの季節の食べ物になっていたことを知り、早速、生産者に連絡した。ハマボウフウによる海岸の美化と畑での生産に努めていた「名取ハマボウフウの会」は、崎野さんの要請を受けてその食材を施設に提供することを約した。
 
 〝ボウフウおこわ〟が「円」で発売されるようになったのは、それから間もなくのことだった。独特の芳香を持つハマボウフウのだし汁を使って蒸し上げる一パック三百円の〝ボウフウおこわ〟は評判となり、「円」のヒット商品の一つになった。
 
 そんな時、東日本大震災は起きた。「円」も大きな被害を受け、施設は使用不能となった。全てが振り出しに戻った。崎野さんは、幸い被害の少なかった仙台の「宝万頭本舗」に戻り、長男の敬光社長を助けて社業の継続に尽力した。そして、どんな苦境に立たされても、新商品開発への意欲は弱まることは無かった。そのような状況の中から生まれたのが〝ネコまん〟だ。丸い形の万頭の表面に、ネコの肉球を思わせる焼印を入れた遊び心たっぷりの商品だ。機械を使わず全て手作りの〝ネコまん〟は、餡の練り具合から生地の包み加減、そして、肉球の茶色の部分は、黒糖生地を一枚一枚貼っていくという、実に手間ひまのかかる商品なのだ。しかし、ほのぼのとした形と思わず笑みがこぼれるこのユニークなお菓子は、ネコ好きな人や若い女性の心を捉えリピーターも多い。
 
 「人生、楽しくいきましょうや!めげててもしょうがないんだから。」 上杉の工場で敬光社長と若い従業員に囲まれた崎野さんは、そう言って笑った。
 
☆新商品
 「ネコまん」1個157円
 「胡麻どうふ」1個147円

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