会員企業紹介

株式会社 ささ圭

株式会社ささ圭店舗の様子
住所 〒981-1226 宮城県名取市植松字入生48-1
電話番号 022-784-1239 FAX 022-784-1250
E-mail   URL http://www.sasakei.co.jp/
営業時間 午前8時半~午後6時(名取店) 定休日 年中無休(名取店)
概要 「希望の笹かまぼこ」
 
「あの時は従業員にも宣告して廃業しようかと思ったんですよ」と佐々木社長は語る。平成23年3月、東日本大震災と言う類まれな震災とそれに伴う津波により、名取市閖上に在った社屋や工場は全て流失、社員も帰宅していた三名が犠牲になった。
廃業届の提出を踏み止まらせたのは、社会保険労務士の太田さんだった。「休業届を出しておいて、その間に再開の手続きを取るようにすれば良いのですよ」と、太田さんは労働基準監督署に提出する書類やその書き方まで親切に教えてくれた。
押し流された工場跡地の砂の中から、傷ついた“社名プレート”と蒲鉾づくりに欠かせない“焼き串”が見つかったのはそんな時だった。「ささ圭を再建してくれ!って言われているような気がしましたね」..佐々木社長はふり返る。そして、家族全員で焼き串を洗う日が続いた。
 しかし、いざ再開するとなると蒲鉾をつくる道具が何もない。特にすり身をつくる“石うす”はどうしても欲しいものだった。「ウチのもので良かったら使ってください」と言ってくれたのは、福山市(広島県)にある加工用機械製造メーカー「備文(びぶん)」の山本社長だった。石うすの購入代もままならない状況に在ったささ圭に対し、「こんな時だからこそお役にたちたいんですよ」と、山本社長はそれを無償で提供してくれたのだった。  唯一残った名取店を改造しての蒲鉾づくりが始まった。
石うすで練り上げたすり身を“笹の葉”状に手で形を整える技術は経験の浅いものには難しい。「わたしがお手本を示そう」とその仕事を買って出たのは、佐々木圭司会長だった。八十代も後半の会長とその奥様が一枚一枚丹念に成型し焼き上げていく“手わざ笹かまぼこ・希望”は評判を呼び、再開への大きな力となった。
 次に必要となったものは製品を包装するための機材だった。「シュリンク」と呼ばれるその包装機材は高額でささ圭の手には入りにくいものだった。それを提供してくれたのが“南部せんべい”の老舗「岩手屋」(岩手県二戸市)の小松専務だった。「お互い様ですよ。どうぞお使いください」と小松専務は事も無げに言ってその機材をやはり無償で提供してくれた。
 善意の人たちに支えられ、株式会社ささ圭は震災の翌年、平成24年9月に本社社屋と工場を名取市植松に完成させた。その土地は創業者である佐々木圭司会長が、「将来、きっと役立つ時が来る」と考え入手していた土地だった。そして、新社屋正面玄関脇の記念碑には、あの傷ついた社名プレートがしっかりとはめ込まれた。
 佐々木圭亮社長は当時をふり返って語る。「あの時ほど人の情けを感じたことはなかったですね。わたしたちは一人ではない、こんなに多くの人がわたしたちに心を寄せてくれる..そう思った時、やらなければという気持ちが自然と湧いてきましたね。それが再開への力となりました。」
社会保険労務士の太田さん、加工機械メーカー「備文」の山本社長、そして南部せんべい「岩手屋」の小松専務と、“ささ圭再建の物語り”にはこのような人たちの蔭の力がはたらいていたことを、佐々木社長はこれからも語り継いでいくことだろう。

ささ圭二代目社長佐々木圭亮さん

ささ圭本社工場

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